AI生成画像を広告やWebサイトで使用するときの注意点

AI生成画像は広告やWebサイトにも活用できますが、商用利用可能という確認だけで公開してよいわけではありません。既存作品との類似、人物の扱い、ロゴや商品、広告内容の正確性、利用するAIサービスの規約などを公開前に確認する必要があります。

画像生成AIでは、担当者が意図していなくても既存作品を連想させる表現や、実在するロゴに似た図形、事実とは異なる商品表現などが生成されることがあります。また、生成することと、企業が広告として公開・配信することでは確認すべきリスクが異なります。

この記事では、中小・中堅企業がAI生成画像を広告、コーポレートサイト、LP、採用サイトなどで使う際の注意点と、担当者がそのまま使えるチェック項目、社内確認フローを整理します。

この記事のポイント

  • 商用利用可能なAIサービスでも、生成画像そのものが第三者の権利を侵害しないことまで保証されるとは限りません
  • 著作権だけでなく、人物、商標、商品表現、広告内容、利用規約まで確認することが重要です
  • 広告はWeb記事の挿絵よりも消費者の判断へ直接影響するため、より慎重な確認が必要です
  • 生成担当者だけに判断を任せず、生成、確認、承認、公開の流れを決めておくと運用しやすくなります
  • プロンプトや生成日、使用ツール、確認者などの制作記録を残すことも実務上有効です
AI生成画像の人物や商品表現を確認する日本企業の担当者
AI生成画像は見た目だけで判断せず、既存作品との類似、人物、ロゴ、広告内容など複数の観点から確認することが重要です。

AI生成画像は広告やWebサイトに使えるのか

AI生成画像を広告やWebサイトへ使うこと自体が、一律に禁止されているわけではありません。実務では、使用するAIサービスの契約条件と、完成した画像を公開することで第三者の権利や広告ルールに問題が生じないかを分けて考える必要があります。

特に注意したいのが、AIサービス上で商用利用が認められていることと、完成した画像をどの用途でも問題なく使えることは同じではないという点です。

最初に押さえたい考え方

商用利用可能という条件は、主にAIサービス提供者と利用者との契約上の条件です。第三者の著作権、人物の権利、商標、広告表示などまで自動的に問題がなくなるわけではないため、生成後の確認が必要です。

また、社内資料で使う場合と、不特定多数へ配信する広告で使う場合ではリスクも異なります。広告や企業サイトのメインビジュアルなど、閲覧者への影響が大きく長期間掲載する素材ほど確認レベルを上げる考え方が実務的です。

公開前に確認したい6つの注意点

企業がAI生成画像を利用するときは、著作権だけを確認して終わりにしないことが重要です。少なくとも次の6つの観点を一つの確認表にまとめておくと、担当者による判断のばらつきを抑えやすくなります。

AI生成画像が既存のイラスト、写真、キャラクターなどに似ている場合は慎重な判断が必要です。著作権侵害の判断は個別事情によりますが、既存作品の創作的な表現との類似性などが問題になる可能性があります。

特定の作品画像を参考画像として入力した場合や、既存作品に近づける意図で細かな指示を行った場合は、特に慎重に確認すべきです。

特定の作家風という指示だけで単純に合法・違法を判断しないことが重要です。

作風という抽象的な特徴と、具体的な作品の創作的表現は分けて考える必要があります。完成画像が特定作品そのものに近くなっていないかを確認してください。

広告など重要度の高い用途では、生成後に主要な画像検索サービスなどを使い、酷似した既存画像が見つからないか確認する方法も考えられます。

2. 人物・肖像・プライバシー

AIで架空の人物を生成したつもりでも、結果として実在人物に似た顔が生成される可能性があります。著名人や社員、顧客など特定の人物に見える画像を広告へ使う場合は、本人が広告へ出演していると誤解されないかまで考える必要があります。

特に、人物が商品を推薦しているように見える広告、採用サイトの社員紹介風画像、医療・美容・金融など信頼性が重要な広告では慎重な確認が必要です。

3. ロゴ・商標・商品デザイン

画像生成AIは、背景の看板、衣服、パッケージ、PC画面などにロゴのような図形を作ることがあります。文字が読めなくても、実在ブランドのロゴや商品外観を強く連想させる場合があります。

生成後は主役だけでなく、背景や小物まで拡大して確認してください。企業サイトで使う画像なら、意味のないロゴやブランド風マークは原則として削除・再生成する運用が分かりやすいでしょう。

4. 広告表現と事実との違い

AI生成画像で特に注意したいのが、実際には存在しない特徴を商品やサービスの事実として見せてしまうことです。

例えば、実商品のパッケージと異なる形状、実際より広く見える施設、提供していない設備、存在しない施工事例、実在しない利用者の体験場面などです。画像の印象によって消費者が商品やサービスについて誤った理解をしないかを確認します。

広告で特に確認したい例

  • 実際の商品写真のように見えるが、形状や付属品が異なっていないか
  • 実際の店舗や施設の写真と誤解される構成になっていないか
  • AIで生成した人物が実際の利用者や社員のように見えないか
  • 導入効果や利用後の状態を画像だけで過度に良く見せていないか
  • 存在しない機能やサービス内容を視覚的に表現していないか

健康、美容、医療、不動産、金融など独自の広告ルールが関係する分野では、AI生成画像かどうかに関係なく、業界固有の確認も必要です。

5. AIサービスの利用規約

画像生成AIごとに、出力物の扱い、商用利用、禁止用途、入力データの利用方法などの条件は異なります。同じサービスでも、個人向けと法人向け、無料プランと有料プランなどで条件が異なる場合があります。

サービスを選定した時点だけでなく、広告制作へ使うタイミングでも最新の条件を確認できる体制が理想です。

利用規約で確認したい項目

  • 企業による商用利用が認められているか
  • 出力画像の利用条件はどうなっているか
  • 禁止されている用途は何か
  • 入力した画像やプロンプトがどのように扱われるか
  • 参考画像として第三者の画像を入力してよいか
  • 規約変更時にどのように確認するか

6. 制作履歴と確認記録

AI生成画像を業務で継続利用するなら、完成画像だけを保存するのではなく、どのように作成したか分かる情報も残しておくと管理しやすくなります。

最低限、使用したAIサービス、生成日、用途、主なプロンプト、参考画像の有無、編集内容、確認者、公開先などを記録するとよいでしょう。

将来サービス規約が変わった場合や、画像について社内外から問い合わせを受けた場合にも、制作過程を確認しやすくなります。

用途によって確認レベルを変える

すべてのAI生成画像を同じ重さで審査すると、確認作業そのものが負担になり、運用が続かなくなる可能性があります。公開範囲、広告性、人物・商品の有無、掲載期間などからリスクを分ける方法が実務的です。

AI生成画像の用途別確認レベルの目安
用途 主な注意点 確認レベル 推奨する対応
社内資料のイメージ画像 機密情報、入力データ、規約 低〜中 担当者による基本チェック
ブログ・コラムのイメージ画像 既存作品、人物、ロゴ 公開前チェックリストを実施
コーポレートサイトのメイン画像 ブランドイメージ、人物、長期掲載 担当者とは別の確認者を設ける
採用サイト 実在社員との誤認、職場環境の表現 中〜高 採用担当者とWeb担当者で確認
広告バナー・LP 広告表現、商品・サービスとの整合性 広告内容と合わせて承認を行う
実商品・施工例・実績写真の代替 事実との誤認 原則として実物との違いを明確に管理

特に広告では、画像単体ではなく、見出し、本文、価格、注記などと組み合わせた状態で確認してください。画像自体に虚偽の文章がなくても、ページ全体で見たときに事実と異なる印象を与える可能性があります。

AI画像の利用ルールを社内で整理したい場合

生成AIを業務で使う際は、ツールの導入だけでなく、誰が生成し、何を確認し、どの用途まで使えるかを決めておくことが重要です。株式会社ジェイテックサービスのAI顧問サービスでは、AIツール選定や簡易的なリスク対策、社員向けチェックリストなどの整理を支援しています。

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AI生成画像の公開前チェックリスト

生成AIの利用を社内に広げる際は、担当者が毎回法律を調べるのではなく、公開前に確認する項目を定型化することが重要です。次のチェックリストを、自社の業種や媒体に合わせて追加・削除して使うとよいでしょう。

画像そのものの確認

  • 既存の写真、イラスト、キャラクターなどに酷似していない
  • 特定作品の構図や特徴的な表現をそのまま再現していない
  • 著名人や実在人物に見える顔が含まれていない
  • 意味のないロゴ、ブランド名、商標風の図形が含まれていない
  • 既存商品やキャラクターに酷似した物体が含まれていない
  • 背景や小物にも不自然な権利物が含まれていない

広告内容の確認

  • 実在の商品やサービスと異なる機能・仕様を表していない
  • 実際の店舗、施設、施工例、利用者だと誤認させない
  • 画像によって効果を過度に強く見せていない
  • Webページ全体で見ても事実と異なる印象になっていない
  • 業界独自の広告審査が必要な場合は担当部署が確認している

サービス・社内ルールの確認

  • 利用したAIサービスで商用利用が認められている
  • 利用目的がAIサービスの禁止用途に該当しない
  • 第三者の画像を無断で参考画像として入力していない
  • 機密情報や未公開情報を不用意に入力していない
  • 生成日、使用ツール、確認者、用途を記録している

チェックリストは法的判断を自動化するものではありません。

既存作品との類似性が高い場合、著名人に似ている場合、規制の厳しい商品の広告など判断が難しいケースは、社内法務や弁護士など専門家へ確認してください。

企業で決めておきたい5段階の確認フロー

AI生成画像を安全に使うためには、生成担当者の知識だけに頼らず、業務フローとして確認工程を組み込むことが重要です。複雑な仕組みから始める必要はなく、まずは次の5段階を決めるだけでも運用しやすくなります。

  1. 用途とリスクレベルを決める
    社内資料、ブログ、採用サイト、広告など用途を明確にし、どこまで確認するかを先に決めます。
  2. 使用できるAIサービスを限定する
    担当者が自由にサービスを選ぶのではなく、利用規約やデータの扱いを確認したサービスを社内で指定します。
  3. 生成時の禁止事項を決める
    第三者の画像を無断で入力しない、著名人を広告モデルとして生成しない、実在ロゴを作らせないなど、分かりやすい禁止事項を設定します。
  4. 生成者とは別の人が確認する
    広告や重要なWebページでは、生成した本人だけで判断せず、マーケティング担当者や管理担当者など別の人が確認します。
  5. 承認記録を残して公開する
    使用ツール、生成日、用途、確認者など最低限の情報を記録し、承認後のファイルだけを公開用として管理します。
AI生成画像の公開前チェックをチームで行う日本企業の担当者
生成、確認、修正、承認、公開の流れを決めておくことで、担当者個人の判断だけに依存しにくくなります。

AI画像の作成速度が上がるほど、生成工程より確認工程がボトルネックになりやすくなります。そのため、何を禁止するかだけでなく、どの画像なら簡易確認でよいかまで決めることが定着のポイントです。

AI生成画像で起こりやすい失敗例と対策

AI画像の運用で問題になりやすいのは、悪意のある利用よりも、確認項目が決まっていないことで発生する見落としです。代表的な失敗パターンを事前に共有しておくと、社員も判断しやすくなります。

商用利用可能だけを確認して公開する

サービス上で商用利用が認められているため、そのまま広告へ掲載してしまうケースです。しかし、生成された画像に第三者の権利物や実在人物に似た表現が含まれていないかは別途確認する必要があります。

対策:利用規約確認と画像確認を別のチェック項目にします。

背景にあるロゴや文字を見落とす

人物だけを確認して公開したところ、背景の店舗看板や衣服に実在ブランドを連想させるマークが含まれていた、という状況が考えられます。

対策:公開前に画像を100%以上へ拡大し、背景、小物、衣服、端末まで確認します。

AI人物を実際の社員のように掲載する

採用サイトでAI人物を使用し、実際にその社員が勤務しているように見える構成にすると、応募者が職場の実態を誤解する可能性があります。

対策:人物画像が何を表現するためのものかを明確にし、実際の社員紹介や利用者事例と混同しない設計にします。

実物と違う商品画像を広告に使用する

AIで商品イメージを生成した結果、実際には存在しない付属品や仕様が追加されることがあります。見栄えが良くても、商品の事実を説明する広告素材としては問題になる可能性があります。

対策:実商品を示す画像には原則として実物撮影を使い、生成画像を使う場合は実物との整合性を担当部署が確認します。

生成した画像の経緯が分からなくなる

数か月後に問い合わせを受けても、どのAIサービスで作ったか、どんな参考画像を使ったか分からないケースです。

対策:画像ファイルと一緒に生成日、ツール、用途、担当者、確認者を残します。細かなプロンプトまですべて管理するのが難しい場合は、重要広告から記録を始める方法でも構いません。

よくある質問

AI生成画像を広告やWebサイトで利用するときに、企業担当者から生じやすい疑問を整理します。

AI生成画像を広告で使うこと自体は違法ですか?

AI生成画像を広告へ利用すること自体が一律に違法というわけではありません。ただし、既存作品との類似、人物や商標、広告内容、利用規約などを個別に確認する必要があります。特に商品やサービスの事実を示す画像では、実際の内容と異なる印象を与えないよう慎重な確認が必要です。

商用利用可能な画像生成AIなら自由に使えますか?

商用利用可能という条件だけで、すべての用途へ無条件に使えるとは限りません。サービス提供者との契約上利用できても、完成画像が第三者の著作権などを侵害しないことまで自動的に保証されるわけではありません。生成後の画像確認を別途行う必要があります。

AIで作った画像には必ずAI生成と表示すべきですか?

表示の必要性は、用途、媒体、広告内容、利用するサービスやプラットフォームのルールなどによって判断する必要があります。AI生成と記載すれば他の問題がすべて解消されるわけでもありません。実在する商品、人物、施設などと誤認される可能性がある場合は、表示方法も含めて慎重に検討してください。

特定の作家風の画像を生成して使っても問題ありませんか?

作風という抽象的な特徴だけで単純に判断することはできません。完成画像に既存作品の具体的な創作的表現が含まれていないかを確認する必要があります。特定作品へ意図的に近づける生成方法や、既存作品を参考画像として利用する場合は特に注意してください。

AIで作った架空の人物なら広告モデルとして自由に使えますか?

架空人物として生成しても、結果として実在人物や著名人に似る可能性があります。また、実際の社員、顧客、利用者だと誤解される見せ方にも注意が必要です。人物の顔だけでなく、ページ全体で閲覧者がどのように受け取るかを確認してください。

AI生成画像にも著作権はありますか?

AIを使用した画像だから必ず著作権がある、または必ずない、と一律に判断することは適切ではありません。人がどの程度創作的に関与したかなど、具体的な制作過程によって判断が変わる可能性があります。自社の重要なブランド資産として独占的に管理したい画像では、この点も事前に検討しておく必要があります。

まとめ

AI生成画像は、広告制作やWebサイト運営の選択肢を広げる便利な手段です。一方で、生成できた画像をそのまま公開するのではなく、用途に応じた確認工程を設けることが企業利用では重要です。

まず取り組みたいこと

  • 社内で利用できる画像生成AIを決める
  • 著作権、人物、ロゴ、広告表現、利用規約の確認項目を作る
  • 広告と一般的な記事画像で確認レベルを分ける
  • 重要画像は生成者とは別の担当者が確認する
  • 生成日、使用ツール、確認者、公開先など最低限の制作記録を残す

最初から長い社内規程を作る必要はありません。まず一つの用途について生成方法と公開前チェックを決め、実際の運用結果を見ながら対象業務を広げる方が定着させやすくなります。

株式会社ジェイテックサービスのAI顧問サービス

株式会社ジェイテックサービスのAI顧問サービスでは、AIツールの選定だけでなく、業務への組み込み方、プロンプトや業務テンプレートの作成、簡易的なリスク対策や利用ルールの整理などを継続的に支援しています。

画像生成AIについても、使用するツールだけを決めるのではなく、どの業務で使い、誰が確認し、どこまで利用するかを整理しておくことが重要です。専門的な法的判断が必要なケースでは、社内担当者や弁護士などによる最終確認を前提として進めます。

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