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2025.09.19
Green ITエンジニア(カーボンエンジニア)は、ITシステムやサービスを環境負荷の少ない形で設計・運用する専門職です。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む一方で、IT業界全体のエネルギー消費量は急増しており、企業には環境への配慮が強く求められています。
クラウドサービスやデータセンターの電力消費は年々増加し、IT業界全体のCO₂排出量は世界全体の約2〜3%を占めるとも言われています。そのため、企業には「CO₂排出削減」「サステナビリティ経営」への取り組みが必須となっています。
Green ITエンジニアは、エネルギー効率を最大化し、持続可能なIT運用を実現することで、企業の環境目標達成を技術面から支えます。技術・環境・ビジネスをつなぐ役割を担い、IT活用と脱炭素の両立を実現する、今後ますます需要が高まる職種です。
欧州を中心に、企業のCO₂排出量報告が義務化されています。日本でも「カーボンニュートラル2050」の実現に向けて、企業の環境対応が評価される時代になりました。
環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を重視するESG投資が主流となり、環境配慮ができない企業は投資対象から外される可能性が高まっています。
IT運用の効率化は、環境負荷の削減だけでなく、電力コストやクラウド利用料の削減にも直結します。経営面でもメリットが大きいため、多くの企業が注目しています。
Green ITエンジニアの業務は多岐にわたります。ここでは、実際の業務内容を具体的に解説します。
データセンターやクラウドサービスの電力消費量を計測・分析し、無駄な消費を特定します。具体的には、サーバーの稼働状況、ネットワーク機器の使用率、冷却設備の効率などを可視化し、改善点を洗い出します。
【業務例】
・モニタリングツールを用いた電力消費のリアルタイム計測
・使用率の低いサーバーの特定と統廃合の提案
・ピーク時の負荷分散によるエネルギー効率の改善
仮想化技術やコンテナ技術を活用し、物理サーバーの数を削減します。また、サーバーレスアーキテクチャの導入により、必要な時だけリソースを使用する仕組みを構築します。
【業務例】
・VMwareやHyper-Vを使った仮想化によるサーバー統合
・DockerやKubernetesを活用したコンテナ化
・AWS LambdaやAzure Functionsなどのサーバーレス移行
・低消費電力のCPU(ARM系プロセッサ)への移行検討
企業のデータセンターやオフィスで使用する電力を、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに切り替える支援を行います。
【業務例】
・グリーン電力契約への切り替え支援
・再エネ100%のクラウドリージョン選定(AWS、GCP、Azureの環境配慮型データセンター活用)
・オンサイト太陽光発電の導入検討
IT活動によるCO₂排出量を算出し、削減目標の設定や進捗管理を行います。GHGプロトコルに基づいたScope1〜3の排出量計算も実施します。
【業務例】
・クラウドサービスのCO₂排出量計算ツールの活用
・年次・四半期のカーボンレポート作成
・削減シミュレーションと目標設定のサポート
ESG報告、GHGプロトコル、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)などの国際基準に準拠した報告体制を構築します。
【業務例】
・環境報告書やサステナビリティレポートの技術部分作成
・ISO 14001(環境マネジメントシステム)対応
・投資家向けのESG説明資料の作成支援
機器の調達から廃棄までのライフサイクル全体で環境負荷を考慮します。環境認証を取得した製品の選定や、リサイクル可能な設計を推進します。
【業務例】
・EPEAT認証やEnergy Star認証製品の優先調達
・製品のライフサイクルアセスメント(LCA)実施
・電子廃棄物(e-waste)の適切な処理とリサイクル推進
Green ITエンジニアとして活躍するために、以下の資格取得が推奨されます。
Green ITエンジニアは比較的新しい職種のため、未経験からでも十分に目指せます。以下のステップで学習を進めましょう。
まずは、インフラエンジニアやクラウドエンジニアとしての基礎を固めることが重要です。
【学習リソース】
・Udemyなどのオンライン学習プラットフォーム
・AWS、Azure、GCPの公式トレーニング(無料コースあり)
・書籍:「インフラエンジニアの教科書」シリーズなど
環境問題やカーボンニュートラルに関する基礎知識を身につけます。
【学習リソース】
・環境省や経済産業省の公式資料
・CDP、GRIなどの国際機関の公開情報
・オンライン講座:CourseraやedXのサステナビリティコース
実際にクラウド環境でエネルギー効率を意識した設計や運用を試してみましょう。
前述の資格を取得することで、専門性をアピールできます。特に以下の順序で取得するのがおすすめです。
まずはインフラエンジニアやクラウドエンジニアとして就職し、その後Green IT分野へシフトする方法が現実的です。または、環境意識の高い企業やスタートアップ、コンサルティング会社への就職を目指すのも良いでしょう。
Green ITエンジニアの年収は、経験やスキルレベルによって大きく異なります。
※大手企業やコンサルティングファーム、外資系企業ではさらに高収入の可能性があります。
Green ITエンジニアは、幅広いキャリアパスが開かれています。
A. はい、可能です。IT基礎知識を学ぶ必要はありますが、環境問題への関心やビジネス視点も重要な要素です。むしろ文系出身者ならではのコミュニケーション能力や企画力が活きる場面も多くあります。プログラミングスクールやオンライン学習で基礎を習得すれば、十分にキャリアチェンジできます。
A. 一般的なITエンジニアは「機能」や「パフォーマンス」を重視しますが、Green ITエンジニアはそれに加えて「環境負荷」という視点を持ちます。単に動くシステムを作るだけでなく、「いかにエネルギー効率良く動かすか」「CO₂排出量を減らせるか」を考慮した設計・運用を行います。
A. 非常に高いです。世界的にカーボンニュートラルへの取り組みが加速しており、2030年、2050年に向けて企業の環境対応は必須となります。また、ESG投資の拡大により、環境配慮ができない企業は淘汰される可能性もあります。今後10〜20年で需要が急増すると予測されている職種です。
A. あると有利です。国際的な環境規制やフレームワーク(GHGプロトコル、TCFD、CDPなど)の多くは英語で公開されています。また、海外の先進事例や最新の技術情報も英語が中心です。ただし、日本国内のプロジェクトであれば必須ではありません。
A. ほぼすべての業界で活躍できます。特に以下の業界で需要が高まっています。
A. 多くの企業でリモートワークが可能です。クラウド環境の運用やデータ分析が中心となるため、場所を選ばず働けるケースが多いです。ただし、データセンターの現地調査や顧客との対面ミーティングが必要な場合もあります。
Green ITエンジニア(カーボンエンジニア)は、ITの発展と地球環境の持続可能性を両立させるためのキーパーソンです。単にインフラを運用するのではなく、「エネルギー効率」と「CO₂削減」を意識した設計・改善を担い、企業価値や社会的信頼の向上にも直結します。
今後、カーボンニュートラルへの取り組みがますます加速する中で、環境配慮とデジタル活用を両立できるエンジニアの需要は確実に高まります。技術力だけでなく、環境への想いやビジネス視点を持つ人材が求められる、やりがいのある職種です。
未経験からでも、適切なステップを踏めば十分に目指せるキャリアです。IT技術で社会課題を解決したい、環境問題に貢献したいという想いがある方は、ぜひGreen ITエンジニアという選択肢を検討してみてください。
私たちは、環境に配慮したITソリューションの提供と、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。技術で環境問題の解決に貢献したいという想いを持つエンジニアを積極的に募集しています。
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