ブログ
2025.02.26
近年、九州地方のフリーランスITエンジニア市場が注目を集めています。福岡市を中心に、地域のIT需要や働き方に変化が見られ、地方でもエンジニアが活躍しやすい環境が整いつつあります。本記事では市場規模と成長傾向、案件の種類と分布、報酬相場、地域別特性、働き方のトレンドの観点から、九州におけるフリーランスエンジニア市場を詳細に解説します。データやグラフを交えながら、福岡をはじめ九州でフリーランスエンジニアを目指す方に役立つ情報を提供します。
九州全体のフリーランスエンジニア人口は徐々に増加傾向にあります。全国的に見てもフリーランス人口は年々拡大しており、2015年には約913万人だった日本のフリーランス人口が2018年には1,119万人に達しました。さらにコロナ禍以降は副業を含む広義のフリーランス人口が2021年に1,670万人(労働人口の約24%)に達し、過去最大となっています。このような全国的増加トレンドを背景に、九州でもフリーランスIT人材が徐々に増えている状況です。
特に福岡市は「スタートアップ都市宣言」や「エンジニアフレンドリーシティ福岡(EFC)」など技術者誘致の取り組みが功を奏し、九州内でフリーランス人口が集中しています。総務省の調査では、フリーランスの約63%が首都圏に集中し地方は37%程度ですが、その地方の中でも九州・沖縄エリアは比較的人材が多い傾向があります。実際、九州のITエンジニア人口は約4万人と推定され、IT企業数は約1,500社に上りますが、その60%が福岡県に集中しています。このように福岡が九州のハブとなり、市場全体を牽引しています。
企業側の動向としても、人材不足を背景にフリーランスエンジニアの活用が拡大しています。「即戦力の技術者をプロジェクト単位で起用できる」「必要な期間だけ契約できる」といったメリットから、成長企業ほどフリーランスを積極活用する傾向が報告されています。九州でも地場企業や支社が専門スキルを持つフリーランスに業務委託するケースが増えており、フリーランスエージェントの九州支店経由での契約も年々微増しています。
将来的な需要予測も明るいと言えるでしょう。福岡では2020年時点でエンジニア職種の有効求人倍率が約11倍に達しており、ITエンジニア不足が顕在化しています。これに伴い「フリーランス求人・案件が増加し、フリーランスエンジニアのニーズも高くなる」と予想されており、九州のフリーランス市場は今後も拡大が続く見込みです。
九州(特に福岡)のフリーランス案件の特徴として、業務系システム開発案件が大半を占める点が挙げられます。具体的には銀行・保険など金融業界、メーカー、公共団体向けのインフラ構築や業務システム開発のニーズが高く、エンタープライズ系のプロジェクトが豊富です。使用される技術スタックでは、Javaが圧倒的に多く、次いでC#(.NET系)が多い状況です。下記グラフは福岡の案件で求められるスキル比率の一例です。
Java(業務系)の需要が全体の30%を占め、次いでJavaScriptなどフロントエンド(19%)、.NET系(約14%)、PHP(12%)、Ruby(10%)と続いています。このデータからも、福岡では業務系システムに強いエンジニアもWebサービス開発に強いエンジニアも活躍できることがわかります。一方、AIやIoT、ブロックチェーンといった最新技術系の案件は東京に比べるとまだ数が少なく、これら先端領域のプロジェクトは首都圏に集中する傾向があります。ただし、福岡でも案件数・種類は増加傾向にあり、将来的には多様なプロジェクトのニーズが生まれることが想像できます。
リモート案件とオンサイト案件の割合については、現状九州ではオンサイト常駐型が主流です。基本的に週5日クライアント先に常駐する契約から始まり、参画直後から完全リモートOKの求人は限定的です。実際、「参画当初はいきなりリモートではなく、2〜3ヶ月後を目処にリモートへ移行してもらう形が現時点では主流」という声もあります。しかし、コロナ禍以降リモートワーク可能な案件は確実に増加しています。フリーランス白書2023によると62.0%のフリーランスが「リモート案件が増えた」と回答しており、企業のリモート推進に伴い九州在住エンジニアも首都圏や関西の案件にフルリモートで参画できる機会が増えています。特に関東企業の案件では九州よりもWeb系が多いため、居住地に関係なく案件に参画できる環境はエンジニアの選択肢拡大に繋がっています。
また、契約形態としてはプロジェクト単位の短期案件よりも中長期の常駐案件が主流です。フリーランスエンジニアの契約期間は一般的に初回1ヶ月の試用契約の後に6ヶ月〜1年程度に及ぶケースが多く、九州エリアでも一つの案件に半年以上コミットするのが一般的です。短期のスポット案件(1〜3ヶ月未満)は特殊なケースを除き少なく、頻繁に契約を切り替え続けると経歴に不利になるとの指摘もあります。したがって、九州のフリーランス案件は「プロジェクトベース」と言っても実態は6ヶ月〜1年の長期契約が大半であり、安定して稼働しやすい一方で、短期案件を探すのは難しいのが現状です。
九州地域(主に福岡)のフリーランスエンジニアの報酬相場は、月額50万円前後〜が一つの目安となります。あるエージェントの分析によると、福岡のフリーランスエンジニアは月収50万円以上が相場で、東京と比較すると単価は1〜2割程度低い感覚です。
九州と首都圏のフリーランス報酬相場比較
九州のフリーランスITエンジニア市場は、福岡を中心に成長中です。市場規模は全国的なフリーランス増加の波に乗って拡大しつつあり、企業の人材ニーズも高まっています。案件面では業務系開発が主体ながら、徐々にWeb系・先端系も増え、リモート案件の普及で地方に居ながら多様なプロジェクトに参画可能な環境が整ってきました。
福岡を拠点にすれば、東京案件をリモートで請け負うチャンスも増える
報酬相場は東京より低いが、生活コストを考慮すれば十分魅力的。
これから九州でフリーランスエンジニアを目指す方は、福岡を拠点にしつつ、リモート案件にも挑戦する戦略が最適です。エンジニアとしてのスキルを活かし、自由な働き方を実現しましょう!